「.docx」は知っているのに、「.dotx」は見慣れない。そんな人は多いはず。実はこの2つ、見た目はよく似ているが、役割がまったく違う。
Wordで文書を保存すると、一般的には「.docx」という拡張子になる。これは普通のWord文書を表す形式で、文章を書いたり、表を作ったり、画像を貼ったりした完成済みの文書を保存するために使われる。
一方、「.dotx」はWordの「テンプレートファイル」だ。「Document Template(文書テンプレート)」に由来する拡張子で、文書そのものではなく、「これから作る文書のひな型」を保存しておくためのファイルである。
例えば、会社で毎回同じ形式の報告書を作るとする。タイトルの位置、フォント、見出し、ページ設定、表のデザインなどを毎回設定するのは面倒だ。そこで、あらかじめレイアウトを整えたファイルを「.dotx」として保存しておく。
このテンプレートを使って新しい文書を作れば、設定済みの書式を引き継いだ状態から作業を始められる。元のテンプレートそのものを編集してしまうのではなく、テンプレートをもとに新しい文書を作成する、というイメージだ。
つまり、「.docx」が完成した文書を入れる箱だとすれば、「.dotx」は同じ種類の文書を何度も作るための「設計図」に近い。
さらに興味深いのが、ファイル名の「dot」の部分だ。Wordの古いファイル形式では、通常の文書が「.doc」、テンプレートが「.dot」と区別されていた。その後、Office 2007以降でXMLベースの新しい形式が導入され、「.docx」と「.dotx」になった。「x」は、XMLをベースとした形式であることを示している。
ちなみに「.dotx」を見つけたとき、「Wordなのにdocxじゃない!」と驚く必要はない。むしろ、それは誰かが「このファイルは直接編集して完成させる文書ではなく、何度も使い回すためのテンプレートですよ」と教えてくれているサインなのである。
普段何気なく目にしているファイルの末尾にも、実はそのファイルが「何者なのか」を示す情報が隠されている。拡張子を少し意識してみると、Wordのファイルだけでも意外な違いが見えてくる。

